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『レコード芸術』2023年01月号 新譜月評 優秀録音/『憧れ~ライヴ・イン・ロッテルダム』

『レコード芸術』2023年01月号 新譜月評 優秀録音/『憧れ~ライヴ・イン・ロッテルダム』

『憧れ~ライヴ・イン・ロッテルダム』

小編成と無観客、パンデミックの時代ならではのライヴで聴く、ウィーン世紀末

主にオランダで指揮者、編曲者として活躍しているロルフ・フェルベークと、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の団員で組織される室内アンサンブル、カメラータRCOによるベルクとマーラー。ベルクの『初期の7つの歌』では、ピアニストとして活躍したレインベルト・デ・レーウがオリジナルのピアノ譜から編曲した版(作曲者自身による管弦楽版も参考にしていると思われます)、『4つの歌曲』はオランダ放送フィルの打楽器奏者であり、デ=メイ「指輪物語」の管弦楽編曲などでも知られるヘンク・デ・フリーヘルによる版を使用。マーラーの交響曲第4番は、シェーンベルクの弟子であったエルヴィン・シュタインが「私的演奏協会」のために編曲したもの。ソリストを務めるのは後期ロマン派、新ウィーン楽派から同時代音楽までのスペシャリストであるバーバラ・ハンニガンと、オランダの若きバリトン、ラウル・ステファニ。2020年からの世界的パンデミックの中で、様々な管弦楽作品を小編成のカメラータRCOのために編曲してきたというフェルベークとアンサンブルの意思疎通は非常に親密なもので、ハンニガンらも奥行きのある表情でこの秀演をさらに表現豊かなものにしています。このアルバムはロッテルダムのデ・ドゥーレンにて収録されたストリーミング用無観客公演の様子を収めたもの。今の時代ならではのライヴ・パフォーマンスと言えるでしょう。
国内仕様盤 解説・歌詞訳…広瀬大介(ナクソス・ジャパン)

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