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新譜月評 優秀録音

『レコード芸術』2023年05月号 新譜月評 優秀録音/ショスタコーヴィチ: 交響曲第12番&第15番

ショスタコーヴィチ: 交響曲第12番&第15番
ショスタコーヴィチ最後の交響曲!
フィンランドの秀英、ストゥールゴールズ!手兵BBCフィルハーモニックとの渾身のショスタコーヴィチ!
随所で見せる圧倒的な統率力で作品の細部まで描きます!

2008年から2015年までヘルシンキ・フィルの首席指揮者を担い、その他にもラップランド室内管弦楽団の芸術監督を務め、現在はBBCフィルハーモニックとカナダ・ナショナル・アーツ・センター管弦楽団の首席客演指揮者を務めているフィンランドを代表するマエストロ、ヨン・ストゥールゴールズ(ヨーン・ストルゴーズ)。
2014年~2015年に発売された「シベリウス:交響曲全集(CHAN 10809)」と「ニールセン:交響曲全集(CHAN 10859)」、2つの「生誕150周年記念盤」の世界的ヒットによって一躍脚光を浴び、その後ジョージ・アンタイルの管弦楽作品集(CHAN 10941、CHAN 10982、CHAN 20080)でその秀でた実力を見せつけてくれました。
また直近では2023年1月に東京都交響楽団との来日公演を行い好評を博しています。

2020年に発売され、レコード芸術特選盤&優秀録音、英グラモフォン誌「Critics’ Choice」と高く評価されたショスタコーヴィチの「交響曲第11番」(RCHSA 5278/CHSA 5278)に続き、十月革命を描いた「第12番」と最後の交響曲となった「第15番」のリリースです。
随所で見せる緻密なテンポ設定によってきっちりとコントロールされた前作、今作でも期待が高まります。(東京エムプラス)

『レコード芸術』2023年05月号 新譜月評 優秀録音/モーツァルト: 弦楽五重奏曲第3番&第4番

モーツァルト: 弦楽五重奏曲第3番&第4番

エベーヌ弦楽四重奏団にアントワン・タメスティが加わり、心に響く暖かさ、各楽器との対話により、新鮮で魅惑的な演奏を披露。

ここに収められたモーツァルトの弦楽五重奏曲の2曲は、1787年にペアとして作曲されましたが、対照的な性格を持っており、交響曲第40番と第41番とのように擬せられ、随所に流れる美しい旋律は、モーツァルトの数ある作品の中でも、もっとも深い憂いをたたえたものに数えられています。この弦楽五重奏曲は弦楽四重奏にヴィオラが追加されたもので、音の絡み合いが複雑であり弦楽四重奏の響きの純度に比べると、中音部のバランスが重要視されます。エベーヌ四重奏団の瑞々しく新鮮に、何よりも生き生きと蘇った見事なバランスによる透明な響き、しなやかな歌のあふれた緊密なアンサンブル。そして世界で最も偉大なヴィオリストと称され、比類のないテクニックと深い芸術性をもつ音楽家であることに加え、美しく、豊で深みのある、磨きぬかれた質の高い音色で知られるヴィオラ奏者のアントワン・タメスティが加わり、心に響く暖かさ、各楽器との対話により、何とも新鮮で魅惑的な演奏を披露しています。常に時代に合った新鮮味を加え、作品の深奥に迫っていく鋭敏な感性には脱帽です。

ワーナーミュージック・ジャパン取り扱い輸入盤のみ、日本語解説書・帯付き(ワーナーミュージック・ジャパン)

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『レコード芸術』2023年05月号 新譜月評 優秀録音/ファンタジー

ファンタジー

華麗なる技巧と香り高い音楽!実力派クラリネット奏者、田中香織によるファンタジー集!

日本音楽コンクール第1位受賞、ジャック・ランスロ国際コンクール第2位など多くの国内外コンクール受賞歴を持ち、スイス・バーゼルにて研鑽を積んできたクラリネット奏者、田中香織のデビューアルバムです。完璧なテクニックをもとに奏でられる美しいフレージング。多彩に変化する音色の妙。田中香織の高い音楽性が感じられるアルバムとなりました。今回のテーマは「ファンタジー」です。各作曲家によって照らし出される華麗で幻想的なクラリネットの魅力が存分に詰まっています。田中香織の圧倒的な技巧と細部まで統率の行き届いた音楽性をお楽しみ下さい。(ナクソス・ジャパン)

『レコード芸術』2023年05月号 新譜月評 優秀録音/プッチーニ:歌劇『トゥーランドット』全曲

プッチーニ:歌劇『トゥーランドット』全曲

現代を代表する指揮者パッパーノによる「トゥーランドット」!

歌劇作品での評価がとりわけ高い現代を代表するトップ指揮者、パッパーノによる渾身の「トゥーランドット」、主役テノールにカウフマンを迎えた新世紀の決定的新録音。アルファーノ補作初稿を使用し、トスカニーニによる削除部分も復元しての世界初・完全全曲録音。日本盤のみボーナス・トラック「誰も寝てはならぬ」(シングル・エディションー単独のアリアとして歌われる場合のエンディングヴァージョン)収録(デジタル配信には収録)。

日本語解説書(72ページ)には、パッパーノによる作品と演奏・録音についての解説の日本語訳。
オペラ研究家の岸純信 氏による作品解説と、アルファーノ補作初稿版との違いなどの書き下ろし解説文。
アルファーノ補作初稿版による歌詞対訳付き(発売・販売元 提供資料)

『レコード芸術』2023年05月号 新譜月評 優秀録音/ベルリオーズ: 幻想交響曲 Op.14

ベルリオーズ: 幻想交響曲 Op.14
大野和士×都響 2019年《幻想》ライヴ
内面の幻想を明瞭に描くことであきらかになる作曲家の情念特異な交響曲を丹念に歌い構築、オーケストラの醍醐味を堪能!東京都交響楽団と音楽監督・大野和士によるALTUSライヴシリーズ、マーラー《巨人》(ALT-522)に続く第2弾。ベルリオーズ没後150年にあたる2019年に演奏された《幻想交響曲》を収録しています。

壮麗な近代オーケストレーションの開祖的作品にして、狂気をはらんだ幻想性をもつ特異な交響曲。
ベルリオーズの天才的なアイデアが満載のスコアを、大野は明瞭な響きではっきりと音楽化し、そのうえで熱のこもった歌として聴かせます。
各奏者の美しくこまやかな動きからトゥッティの壮絶な強打まで、すべてが有機的につながり、大きな流れの上で凄味あふれるクライマックスを構築。
オーケストラを聴く醍醐味そのもののような、聴き応えある名演奏です。

「フィナーレも、そこに描かれているはずの一種グロテスクな地獄絵図そのものよりも、それを描きだしてしまう若い男の情念のほうに聴きての注意を向かせる。言い換えるなら、書き綴られた音符そのものではなく、それを透かして、それを書いた男の夢と欲望に歪んだ顔つきを見せてくれる。」(許 光俊氏の解説より)
(1/3)(キングインターナショナル)

『レコード芸術』2023年04月号 新譜月評 優秀録音/ショスタコーヴィチ: 日の目を見た作品集

ショスタコーヴィチ: 日の目を見た作品集
ショスタコーヴィチの知られざる側面が日の目を見た。
ファン狂喜の世界初録音!SACDハイブリッド盤。ショスタコーヴィチ・ファン狂喜のアルバムが登場します。すべて稀少作品のうえ、収録時間76分のうち63分が世界初録音なのも驚き。
世界初録音2点のひとつ目は交響曲第14番「死者の歌」のショスタコーヴィチ自身によるピアノと打楽器用編曲。声楽と打楽器はそのまま、弦楽オーケストラのパートをピアノに書き換えています。弦とは全く異なる音響が衝撃で、原作以上に尖った暴力性が聴きもの。単なる歌手の勉強用や作曲家同盟のプレゼン用ではないのは打楽器が加わっていることからも伺え、独特な刺激と色彩を添えます。ここではフランス国立管弦楽団の名打楽器奏者フロラン・ジョデレがひとりで健闘、第3楽章と4楽章の重要なチェレスタ・パートはピアノのスタヴィが原作通り奏し、効果をあげています。
もうひとつはマーラーの交響曲第10番第1楽章のピアノ4手編曲。1920年代、彼の親友の音楽学者ソレルチンスキーがレニングラードに協会を設立するほどマーラーに関心が高まっていました。ショスタコーヴィチも衝撃を受け、以後強い感化をうけることとなりました。編曲は1920年代後半と思われますが、全曲ではなく最初の3分の1まで約8分の未完作品。仕事というよりは個人的な研究目的と協会員に聴かせるためで、最近ようやく日の目を見ました。マーラーとショスタコーヴィチをつなぐ絆なうえ、セコンドをティベルギアンが受け持っているのも豪華です。
フィルアップは、ショスタコーヴィチが正式に作曲を学び始めた少年時代に試作した4つのピアノ曲。ショパンやラフマニノフを思わす作風のなか、ピアニスティックな技法やグロテスクさも垣間見せ興味津々。さらに1945年に取り組みながら中止したヴァイオリン・ソナタの断章も貴重。ユン・イサンのヴァイオリン協奏曲第3番ディスクで好演した韓国出身の若手パク・スーイエの熱演を楽しめます。
ニコラ・スタヴィは1975年生まれのフランスのピアニスト。ドミニク・メルレ門下で2000年の第14回ショパン国際コンクール入賞の実力派。ソプラノのバカノワは1984年生まれ。2013年のフェニーチェ劇場の来日公演で注目されました。ギリシャのバス、スタヴラカキスは2019年第16回チャイコフスキー国際コンクール声楽部門優勝の注目の若手。両者とも新鮮な歌唱ぶりを堪能させてくれます。(キングインターナショナル)

『レコード芸術』2023年04月号 新譜月評 優秀録音/シューベルト: ピアノ三重奏曲集 他

シューベルト: ピアノ三重奏曲集 他
「あまり時間が残されていないなら、お別れにはこれがふさわしい。君たち二人は最高だ。クリストフも実に素晴らしい。そしてフランツときたら。信じがたい。なんという表現。なんという壊れやすさ。なんという愛」
このアルバムの録音を聞いたラルス・フォークトがクリスティアン・テツラフとターニャ・テツラフに宛てた言葉です(「クリストフ」は録音プロデューサー兼エンジニアのクリストフ・フランケ、「フランツ」は作曲者のシューベルト)。
ドイツの中堅世代を代表するソリスト3人によるシューベルトの後期作品を集めたアルバムは、フォークトの早すぎる死により、このトリオの最後の録音となってしまいました。録音セッションが行われたのはフォークトが癌の診断を受ける少し前でしたが、彼はセッションの合間に痛みをこらえてソファに横たわることもあったそうです。しかし録音からはそのような気配は感じられず、端正で軽やかに、必要とあらば地響きを感じさせるほどの力強さでピアノを奏で、テツラフ兄妹と一体となり触発し合って間然するところの無い音楽を奏でています。3人の技術・解釈は言うまでもなく最高水準で、後期シューベルトならではの天国的な「歌」の魅力と、和声の変化がもたらす明暗の情感も十分に表出。フォークトが「僕の人生のすべてはここに向かっていたんじゃないかとさえ思える」と語った第2番をはじめとする会心の出来。選曲の充実と相まって後期シューベルトの世界に深く浸れるアルバムとなっています。
輸入盤ブックレット(ドイツ語・英語)にはテツラフ兄妹がこの録音の思い出を7ページにわたって綴っており、フォークトを知る人は特別な思いを禁じ得ないでしょう。
国内仕様盤にはその全訳に加え、シューベルト研究家の堀朋平氏による解説が付きます。(ナクソス・ジャパン)

『レコード芸術』2023年04月号 新譜月評 優秀録音/「私的な旅」

「私的な旅」

ピオーとカドゥシュの新生デュオが誘う、歌で紡ぐ旅

初めて行ったデュオでのリサイタルを成功させたサンドリーヌ・ピオーとダヴィッド・カドゥシュによる、待望のアルバムが登場。新たな出会いの喜びとそこから見えるもの、憧れの地への旅、到達できない場所への探求といったものを出発点として、様々な作曲家と詩人たちによる言葉の交差を楽しむというのがテーマとなっており、結果的には有名作を多く含むドイツ語圏とフランスの作品を収めた内容となっています。どの作品でも詩情を奥深く表現するピオーの特性が生きており、「魔王」での切迫した表情も歌姫の貫禄十分。フランスを中心にソリストとして活躍めざましいカドゥシュのピアノも、これにそっと寄り添う素晴らしいサポートを聴かせてます。(ナクソス・ジャパン)

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『レコード芸術』2023年04月号 新譜月評 優秀録音/マラン・マレ: 歌劇「アルシオーヌ」 (全曲)

マラン・マレ: 歌劇「アルシオーヌ」 (全曲)
マレの傑作歌劇『アルシオーヌ』
250年の時を経てのパリ上演のライヴ録音
マレの音楽の第一人者、サヴァールによる決定的名盤の登場!マラン・マレの大傑作オペラ『アルシオーヌ』をサヴァールが録音しました(ライヴ録音)。「アルシオーヌ」は1706年に初演された、ルイ14世時代最後のトラジェディ・リリック。神話に題材をとり、君主の栄光を讃え、舞踊と舞台すべてに贅を尽くした、スペクタクルのきわめつけの作品といえます。サヴァール自身も行っているように、器楽(管弦楽)曲を抜粋して組曲として演奏・録音する機会はありますが、歌劇としての録音は貴重。映画「めぐりあう朝」でマラン・マレの名と音楽を世界に再認識させた立役者であるサヴァールが、1771年に上演されて以降約250年の時を経て、2017年に初めてパリで上演した際のライヴ録音です。この歴史的な作品に、期待を裏切らない名演が登場しました。

当時、音楽が、ダンスやほかのエンターテイメントに移行しつつあったにもかかわらず、『アルシオーヌ』はオペラ座で1719年、1730年、1741年、1756年、1757年、1771年と、長きにわたって何度も再演されました。特に嵐のシーンは絶大な人気を誇り、リュリ、カンプラものちにこの場面を引用しています。
この音楽はのちのベートーヴェンの『田園』へと続く描写音楽の先駆けとなったともいえます。また、合唱の場面で当時の人々が広く知っていた民謡が引用されていることも、この作品が広く熱狂的に受け入れられた理由のひとつだったようです。登場人物たちの繊細な感情を美しく繊細に描く管弦楽は見事。現代の巨匠サヴァールとサヴァール率いるル・コンセール・デ・ナシオン、そして世界的に活躍する歌手たちによる最高の演奏をおたのしみいただけます。(キングインターナショナル)

『レコード芸術』2023年03月号 新譜月評 優秀録音/チャッコーナ!

チャッコーナ!
ライラ・シャイエーク 、 ラ・チェンティフォリア

古楽新世代を牽引するライラ・シャイエーク新録音は17世紀のシャコンヌ・アルバム!
彼女が自ら招集した精鋭アンサンブル「ラ・チェンティフォリア」デビュー盤!

スイスが誇る古楽専門の音楽大学「バーゼル・スコラ・カントルム(SCB)」で古楽界の大御所キアラ・バンキーニに学び、2010年からはバンキーニの後任として自身もSCBでバロック・ヴァイオリンの教授を務めながら、バンキーニのアンサンブル415やラ・リゾナンサ、コンチェルト・ケルンなどのメンバーとして様々なコンサートや録音で存在感を示してきたバロック・ヴァイオリニスト、ライラ・シャイエーク(レイラ・シャイエ)。
昨年のリリースをもって3巻からなるルクレールのヴァイオリン協奏曲集を完結させたシャイエークの新録音は17世紀に書かれたシャコンヌ集!遅くとも16世紀には南米からスペインに伝わったとされその後瞬く間にヨーロッパ全土に広がり、ポピュラー音楽の基礎ともなったといわれるシャコンヌ(チャッコーナ、チャコーナ)。本アルバムではドレスデンのシュランク2世の有名なコレクションから、ベルターリ、パーセル、シュメルツァー、マッテイス、コレッリといった作曲家の作品を収録。そしてアルバムの最後を飾るのはパッヘルベルの「カノンとジグ」。カノンだけが飛びぬけて知名度が高く単独で演奏されることも多いですが、ここでは通常無視されてしまっているジグも合わせて収録しています。
このアルバムがデビュー盤となるラ・チェンティフォリアは2019年にシャイエークが設立したアンサンブル。Glossaレーベルでもおなじみのエヴァ・サラディンをはじめ、朝吹園子、ダニエーレ・カミニティ、ジョナサン・ペセク、ヨハネス・ケラーといったそれぞれが古楽界で大活躍する名手たちで構成され、バロック時代の音楽を主に演奏しています。(東京エムプラス)

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