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stereo誌 2022.12月号 ステレオディスクコレクション 今月の優秀録音/ブルックナー: 交響曲第4番

stereo誌 2022.12月号 ステレオディスクコレクション 今月の優秀録音/ブルックナー: 交響曲第4番

ブルックナー: 交響曲第4番
ラトル&LSOによるブルックナー第4番
2021年グンナー=コールス版による世界初録音!
ブルックナーの作曲工房をたずねるような企画2022年秋に来日するラトル&LSOが、ブルックナー交響曲第4番を録音しました。2021年に出版されたグンナー=コールス校訂版(アントン・ブルックナー原典版全集/Anton Bruckner Urtext Gesamtausgabe/ABUGA・・・アーノンクールをパトロンとしてスタート、2015年より出版を開始。現在のパトロンはラトル)に基づく世界初録音という注目すべき内容です。2021年10月の録音(無観客収録)ですが、これに先立ち9月に演奏会で取り上げ絶賛されました。
オーケストラが非常によく鳴っていて、ラトルが信念をもって掲げる明確なヴィジョンに、オケが一丸となって応えているのがよく感じられる演奏となっています。
グンナー=コールスの版は、様々な作業段階によって異なる楽曲の姿を、コールスが一つの版としてまとめているのではなく、その異なる姿を、ossiaや、カットがある場合小節から小節へ飛ぶポイントを記すなどしてひとつの譜面上に提示しているのが特徴。最終的な取捨選択の判断は指揮者(演奏者)にゆだねられています。Disc1には全曲が通しで収録。第1-3楽章は1881年2月のリヒターによる初演時時点に成立していた作業段階B、そしてフィナーレはブルックナーが提案したカットあり版=作業段階C(今回、演奏可能な版として初めて出版されたそう)を採用しています。そしてDisc2には、様々な段階での楽章が収録されています。ブルックナーの作曲工房をおとずれ、作曲過程を追体験できるような、大変興味深い2枚組となっています。
(キングインターナショナル)

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