MYUtakasaki

kk
『レコード芸術』2023年04月号 新譜月評 優秀録音/マラン・マレ: 歌劇「アルシオーヌ」 (全曲)

『レコード芸術』2023年04月号 新譜月評 優秀録音/マラン・マレ: 歌劇「アルシオーヌ」 (全曲)

マラン・マレ: 歌劇「アルシオーヌ」 (全曲)
マレの傑作歌劇『アルシオーヌ』
250年の時を経てのパリ上演のライヴ録音
マレの音楽の第一人者、サヴァールによる決定的名盤の登場!マラン・マレの大傑作オペラ『アルシオーヌ』をサヴァールが録音しました(ライヴ録音)。「アルシオーヌ」は1706年に初演された、ルイ14世時代最後のトラジェディ・リリック。神話に題材をとり、君主の栄光を讃え、舞踊と舞台すべてに贅を尽くした、スペクタクルのきわめつけの作品といえます。サヴァール自身も行っているように、器楽(管弦楽)曲を抜粋して組曲として演奏・録音する機会はありますが、歌劇としての録音は貴重。映画「めぐりあう朝」でマラン・マレの名と音楽を世界に再認識させた立役者であるサヴァールが、1771年に上演されて以降約250年の時を経て、2017年に初めてパリで上演した際のライヴ録音です。この歴史的な作品に、期待を裏切らない名演が登場しました。

当時、音楽が、ダンスやほかのエンターテイメントに移行しつつあったにもかかわらず、『アルシオーヌ』はオペラ座で1719年、1730年、1741年、1756年、1757年、1771年と、長きにわたって何度も再演されました。特に嵐のシーンは絶大な人気を誇り、リュリ、カンプラものちにこの場面を引用しています。
この音楽はのちのベートーヴェンの『田園』へと続く描写音楽の先駆けとなったともいえます。また、合唱の場面で当時の人々が広く知っていた民謡が引用されていることも、この作品が広く熱狂的に受け入れられた理由のひとつだったようです。登場人物たちの繊細な感情を美しく繊細に描く管弦楽は見事。現代の巨匠サヴァールとサヴァール率いるル・コンセール・デ・ナシオン、そして世界的に活躍する歌手たちによる最高の演奏をおたのしみいただけます。(キングインターナショナル)

« »