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『レコード芸術』2023年02月号 新譜月評 優秀録音/ブラームス: 交響曲第1番/ドヴォルザーク: 交響曲第6番 他

『レコード芸術』2023年02月号 新譜月評 優秀録音/ブラームス: 交響曲第1番/ドヴォルザーク: 交響曲第6番 他

ブラームス: 交響曲第1番/ドヴォルザーク: 交響曲第6番 他
チェコのブルノに生まれた指揮者ヤクブ・フルシャが、2016年から首席指揮者を務める名門バンベルク交響楽団を指揮して録音を進めてきたドヴォルザーク&ブラームス・シリーズ、2作同時発売で一挙完結!
バンベルク交響楽団は、チェコのプラハにあったドイツ系住民によるオーケストラを前身としています。第2次大戦末期にチェコを逃れて古都バンベルクに移り住んだ音楽家たちが終戦の翌年1946年にバンベルク響を旗揚げ。以後、重心の低いドイツ的なバランスと中欧的な音色を持つサウンドは、カイルベルト、ヨッフム、ホルスト・シュタインといったドイツ系マエストロの音楽作りと相まって人気がありました。近年はジョナサン・ノットの下で機能性を一段と向上させ、そのバトンを引き継いだフルシャと共に高い評価を得ています。
フルシャの発案でブラームスの4つの交響曲とドヴォルザークの最後の4つの交響曲を組みあわせるシリーズは、2017年にホ短調の2曲を組み合わせてスタートし、番号を遡ってリリースされ、コロナ禍を乗り越えて遂に完結します。フルシャは第1弾の原盤ライナーで、この二人の作曲家が自分自身とオーケストラにとって欠くことのできない存在であること、ブラ-ムスとドヴォルザークとの間には通じ合うものもあれば、似て非なるものもあり、二人の作品を対照させることでそれが浮き彫りになると語っていました。
バンベルク響のブラームス:交響曲全集はホルスト・シュタイン(1997年)以来となります。フルシャは楽団のあたたかな響きを活かしつつ、中庸のテンポを採って旋律をのびやかに歌わせ、楽団の伝統を尊重した音楽作りを展開。 ヴァイオリンを両翼配置にし、第1番と第2番では第1楽章のリピートを採り入れてスケールの大きな音楽に仕上げています。今作では8曲のハンガリー舞曲も収録。こちらも聴きどころです。
また、チェコゆかりのバンベルク響とはいえ、ドヴォルザークの交響曲の録音は一部を除くと決して多くない点でも注目です。今回のリリースでは、ブラームスの第2番から影響を受けたとされる同じ調性の第6番をブラームスの第1番と合わせるという意外性も魅力。牧歌的な旋律をたっぷりと歌わせます。
※国内仕様盤には本田裕暉氏による日本語解説が付属します。(ナクソス・ジャパン)

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